日本静脈学会の先生方におかれましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、4つの日本静脈学会・肺塞栓研究会合同緊急アンケート調査研究にご参加いただき誠にありがとうございました。お陰様で7編の英文論文を作成でき、日本人のエビデンスを創出することが出来ております。
  これらのデータから、日本人の静脈血栓塞栓症発症頻度は低いものの、全例がCOVID-19重症例に発症していることが判明しました。以上より、出血リスクの高い日本人を考慮し、中等症Ⅱ、重症例に限って選択的に保険適用のある低用量未分画ヘパリンを推奨する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における静脈血栓塞栓症予防の指針Ver.1.0」を発表いたしました。
  2021年4月のVer2.0では⓵高用量の治療用量抗凝固療法の有用性のエビデンスがなく、各ガイドラインも高用量の使用を推奨してないため、治療用量抗凝固療法の記載を削除した。⓶抗凝固療法使用下での弾性ストッキング・間欠的空気圧迫法の有用性には否定的な知見があり、理学療法を使用するための医療関係者の感染リスク上昇の危惧があるため、抗凝固療法使用下の理学療法は必須としないこととしました。
  10月のVer3.0 では、抗凝固療法の強度に関する相反するエビデンスを提示しました。最終的には日本人が血栓症リスクの低いが出血合併症が多いことから低用量未分画ヘパリンによる予防的抗凝固の推奨は変更しませんでした。増加している自宅療養や宿泊療養の軽症―中等症患者の治療に対応するため、下肢の運動と脱水の防止の啓発を追加しました。
  今回のVer4.0では、御協力いただいた最新のコフォート研究CLOT-COVID研究(2021年4月―9月2984名登録)からのエビデンスを追加しました。推奨文には大きな変更はございません。また、今回からは日本循環器学会もご参加いただいております。

何卒、ご所属施設の関連部署への周知のほどよろしく御願いいたします。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における血栓症予防および抗凝固療法の診療指針(Ver.4.0)