エコノミ―クラス症候群予防のための下肢運動と弾性ストッキングの着用方法のビデオ(入院時、災害時、新型コロナウィルス感染症などの場合)
*静脈性潰瘍の保険算定に関する重要なお知らせ
*静脈圧迫処置認定施設一覧
弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会
佐久田 斉(委員長)
今井 崇裕(副委員長)、松原 忍(副委員長)
岩田 博英、牛山 浅美、内田 大貴、小川 佳宏、荻原 義人、久保 盾貴、末廣 晃太郎、 菅原 弘光、杉山 悟、 西本 裕二、根本 寛子、野口 まどか、平林 葉子、深谷 絵里、三岡 裕貴、孟 真
医療器機である弾性ストッキングなどの弾性着衣や弾性包帯は、下肢静脈瘤の治療、慢性静脈不全による静脈性潰瘍、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の予防や治療に幅広く使用されている。これらの圧迫療法において、合併症なく、十分な効果を得るためには、正しい適応、弾性着衣・弾性包帯の圧迫圧・タイプ・サイズの適切な選択、着用時および着用後の注意深い観察と指導が大切である。
弾性着衣・弾性包帯の正しい使用法を熟知し、患者さんの苦情や質問に答えられる医療従事者を養成する目的で、2002年の第23回日本静脈学会総会において弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会が組織された。それと同時に講習会を受講し、一定の条件を満たした方に「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター」の認定をおこなうようになり、今日まで継続している。
2020年4月から慢性静脈不全に対する静脈圧迫処置が診療報酬として算定できるようになった。その施設基準を得るためには、所定の講習会受講が必要とされている。これに対応するため、講習会の内容を充実させ「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター講習会」と名称を変更した。また委員会名は「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会」、認定資格を「弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター」とそれぞれ改称した。
各地区講習会は、主に日本静脈学会の理事、評議員などが主催し全国各地で年に8回開催している。講習会は、「静脈疾患・リンパ疾患についての理解」、「圧迫療法の理論と実践」に加え、「慢性静脈不全による静脈性潰瘍に対する基礎的知識と治療技術」からなる。前半は座学、後半は実習をおこない、その後に認定試験を実施する。資格認定は医師、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床工学技士、あんまマッサージ師、柔道整復師の資格を持つ方を対象としているが、医療従事者の資格を有さなくても講習会への参加は可能である。講習会には毎回100人から250人前後が受講しており,受講後一定の臨床経験を積んだ後に弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの資格を取得できる。2020年3月時点で140回の講習会を開催し、3114人のコンダクターを認定した。今後も、意欲ある医療関係者のスキルアップとして、また慢性静脈不全に対する静脈圧迫処置の施設基準を得るため、本資格を取得する人の増加が予想される。資格の継続には学問の進歩や新製品の登場を鑑み、5年ごとの更新が必要とされる。今後も地域性を考慮しながら全国で講習会を開催する予定である。一方、甚大な自然災害や感染拡大防止の観点から大規模集会の開催が不可能な場合には、インターネットを利用したオンライン講習会も開催する。
本講習会は、圧迫療法に関してばかりではなく、静脈疾患・リンパ疾患・肺塞栓症予防の医療安全や災害時における静脈血栓予防の啓発にも役立つ。参加される皆さんの日々の診療がより良いものになれば幸いである。
2020年5月